薬学部医療栄養学科

医療栄養学科 スポーツ栄養コラム
「食」の力でスポーツの未来をサポートする管理栄養士

第19回 パラチノース?*1のススメ

2020年から2021年の年越しはいつもと違う年末年始。皆様はどのように過ごされましたでしょうか? 

今の時期、多くの選手は次のシーズンに向けて身体づくりや技術習得など、練習を積まれていることと思います。

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さて。今回は「スポーツとパラチノース?」についてお話したいと思います。

*1: パラチノース?は、一般名称をイソマルツロースといいます。パラチノース?はブドウ糖と果糖が砂糖と異なる位置で結合した構造をしています。味は砂糖によく似ていてすっきりとした甘味です。パラチノース?は、様々な生理機能効果が確認されています。今回はスポーツや運動に焦点を当て、紹介したいと思います。


1.血糖の急激な上昇を抑えて、持久的運動時の血糖の低下も抑制する

運動経験者20名を対象にした二重盲検無作為化比較対象試験の研究結果です1) 
1)マルトデキストリン(10%w/v)を溶かした飲料(750mL)を飲んだ人と比べて、75gパラチノースを溶かした飲料(750mL)を飲んだ人の血糖値は緩やかに上昇しました。(図1)
2)試料摂取45分後から自転車エルゴメーター(90分)試験を開始。マルトデキストリンを溶かした飲料を飲んだ人と比べて、パラチノースを飲んだ人は試技中の血糖値がゆるやかに維持されました。(図1)
図1

210204スポーツ栄養コラム1

パラチノース?はゆっくり消化吸収される二糖類であるため、吸収の利用が遅くなります。ゆっくりエネルギーに変わることで、血糖値の乱高下や急激なインスリン分泌が抑えられます。


2.糖質代謝を抑えて、脂質代謝を亢進させる

1.と同じ研究1) におけるデータになりますが、自転車エルゴメーター(90分)試験中、マルトデキストリンを溶かした飲料を飲んだ人と比べて、パラチノースを飲んだ人は試技中の糖質酸化が抑制され、脂質酸化が亢進しました。(図2)
図2

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パラチノース?は、運動中の脂質酸化を亢進させ、糖質代謝を抑制することが分かった。つまり、グリコーゲンをはじめエネルギー産生における糖質導入が抑えられることで持久力のアップにもつながることが考えられます。


3.脂肪細胞への糖の取り込みを抑制。脂肪をつきにくくする。

10人の健康な若い男性を対象にした二重盲検プラセボ対照試験の研究結果です2) 
1)スクロース(50g)を溶かした飲料(300mL)を飲んだ人と比べて、パラチノース(50g)を溶かした飲料(300mL)を飲んだ人の血中GIP*2値は抑制されました。(図3)
図3

210204スポーツ栄養コラム3

スクロースやグルコースを摂取すると、脂肪細胞への糖の取り込みを促進するホルモンGIPが大量に分泌され、脂肪がつきやすくなる(太りやすくなる)ことがわかっています。つまり、この研究からパラチノース?はGIPの分泌を抑え、脂肪の蓄積を起こりにくくすることが示唆されたということです。
2: GIPとは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)のことです。

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スポーツ栄養士は、選手に対して必ず糖質補給の重要性を説くと言っても過言ではありません。
身体を作りたい、筋肉をつけたい、脂肪を落としたい、競技パフォーマンスを向上したい、疲れを回復したいなど、選手の目標に対して糖質摂取を考慮すべき場面は多々あります。
その中でも今回紹介したパラチノース?は、使い方次第で大変味方になる機能性を持っている糖質です。

*1: パラチノース?は、三井製糖株式会社の登録商標です。


参考文献)
1) Substrate Utilization and Cycling Performance Following Palatinose? Ingestion: A Randomized, Double-Blind, Controlled Trial
Nutrients. 2016 Jun 23;8(7):390. 
2) Effects of the naturally‐occurring disaccharides, palatinose and sucrose, on incretin secretion in healthy non‐obese subjects
J Diabetes Investig. 2013 May 6; 4(3): 281–286.
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